インクルーシブ教育とは

インクルーシブ教育というのは、簡単に言うと障害の有無や国籍、貧富の差にかかわらず「誰もが望めば合理的な配慮のもと地域の普通学級で学ぶ」という事です。
単純な場の統合をインテグレーション(統合)教育といい、以前、日本においても障害児と健常児のインテグレーション教育を行い失敗した経緯があるそうです。
それはもちろんだと思います。場だけ一緒にして、なんのサポートも無く、障害児と健常児を等しく扱おうとしたら、担任に負荷がかかり、他の生徒の負担になります。
当時を知る方々からするとそういった混乱を招くだけと誤解されている方もいらっしゃいますが、インクルーシブ教育とインテグレーション教育は異なります。
インクルーシブ教育においては、個々が必要とする様々なニーズに対して「合理的配慮」を行いつつ、多様な子どもたちがともに学ぶことをいいます。
「合理的配慮」の内容は個人個人の状況や環境により変わります。

インクルーシブ教育の目的

1、人としての尊厳・意識の向上と、人権、基本的自由及び多様性の尊重

2、人格、才能、創造力、精神的・身体的な能力の発達

3、障害の有無や国籍、貧富の差に関わらず社会参加がなされること。

インクルーシブ教育実現の為に

1、障害や国籍、貧困を理由に普通小学校・中学校から排除してはならない。

2、ニーズをもった子どもへ合理的配慮・支援措置がなされること。

文部科学省が特別支援教育をインクルーシブ教育とするのは間違い

文部科学省が特別支援教育をインクルーシブ教育システムとしていましたが、あれは完全な間違いです。
日本が障害者権利条約を批准するにあたり、教育分野でも障害の有無に関わりなくともに学ぶというインクルーシブ教育を進めていかなくてはならなくなりました。しかしながら、文部科学省自体は結果的に差別・排除教育となってしまう分離別学をそのまま進めたかったのです。その為に本来は同じ場で学ぶことを第一命題とした上で合理的配慮を行い個々の能力の向上を図らなければならないにも関わらず、文部科学省では能力を最大限発揮させることを第一命題とし、分離した上での能力の向上を図っているのです。そして、障害者権利条約に適合させる為に分離後の交流をインクルーシブ教育と呼んでいるのです。

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以下障害者の権利に関する条約(外務省ホームページより)

「合理的配慮」とは

「合理的配慮」とは、障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう。(第二条 定義)

第二十四条 教育

1 締約国は、教育についての障害者の権利を認める。締約国は、この権利を差別なしに、かつ、機会の均等を基礎として実現するため、障害者を包容するあらゆる段階の教育制度及び生涯学習を確保する。当該教育制度及び生涯学習は、次のことを目的とする。
(a) 人間の潜在能力並びに尊厳及び自己の価値についての意識を十分に発達させ、並びに人権、基本的自由及び人間の多様性の尊重を強化すること。
(b) 障害者が、その人格、才能及び創造力並びに精神的及び身体的な能力をその可能な最大限度まで発達させること。
(c) 障害者が自由な社会に効果的に参加することを可能とすること。

2 締約国は、1の権利の実現に当たり、次のことを確保する。
(a) 障害者が障害に基づいて一般的な教育制度から排除されないこと及び障害のある児童が障害に基づいて無償のかつ義務的な初等教育から又は中等教育から排除されないこと。
(b) 障害者が、他の者との平等を基礎として、自己の生活する地域社会において、障害者を包容し、質が高く、かつ、無償の初等教育を享受することができること及び中等教育を享受することができること。
(c) 個人に必要とされる合理的配慮が提供されること。
(d) 障害者が、その効果的な教育を容易にするために必要な支援を一般的な教育制度の下で受けること。
(e) 学問的及び社会的な発達を最大にする環境において、完全な包容という目標に合致する効果的で個別化された支援措置がとられること。

3 締約国は、障害者が教育に完全かつ平等に参加し、及び地域社会の構成員として完全かつ平等に参加することを容易にするため、障害者が生活する上での技能及び社会的な発達のための技能を習得することを可能とする。このため、締約国は、次のことを含む適当な措置をとる。
(a) 点字、代替的な文字、意思疎通の補助的及び代替的な形態、手段及び様式並びに定位及び移動のための技能の習得並びに障害者相互による支援及び助言を容易にすること。
(b) 手話の習得及び聾社会の言語的な同一性の促進を容易にすること。
(c) 盲人、聾者又は盲聾者(特に盲人、聾者又は盲聾者である児童)の教育が、その個人にとって最も適当な言語並びに意思疎通の形態及び手段で、かつ、学問的及び社会的な発達を最大にする環境において行われることを確保すること。

4 締約国は、1の権利の実現の確保を助長することを目的として、手話又は点字について能力を有する教員(障害のある教員を含む。)を雇用し、並びに教育に従事する専門家及び職員(教育のいずれの段階において従事するかを問わない。)に対する研修を行うための適当な措置をとる。この研修には、障害についての意識の向上を組み入れ、また、適当な意思疎通の補助的及び代替的な形態、手段及び様式の使用並びに障害者を支援するための教育技法及び教材の使用を組み入れるものとする。

5 締約国は、障害者が、差別なしに、かつ、他の者との平等を基礎として、一般的な高等教育、職業訓練、成人教育及び生涯学習を享受することができることを確保する。このため、締約国は、合理的配慮が障害者に提供されることを確保する。


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