世田谷区の分離教育誘因・推進に断固抗議!

さて、新年度を迎えて早々ですが、すでに来年度に向けての「分離教育のススメ」が始まっています。
緑のプリントをご覧ください。こちらは先週末に世田谷区内の6年生に配布された文章です。

一見、配慮を必要な子供を持つ親に対して、一緒に考えましょうというように見えますが、中身は全く違います。
親の不安をあおり、スクリーニングを行い、支援級や支援校へ分離するためのものです。

「いやいや、そんな極端な!話が聞き取れなかったり、話の内容を理解することが難しいひとにもわかるように対策をたててくれるんじゃないな?」
なんて、考える方もいるかもしれません。ある意味そうです。
ただし、その場所は一般の生徒と同じクラスではなく、”特別支援級や特別支援校で”です。
そして、一般の生徒と同じクラスで学びたいという生徒に対しての支援はありません。
ここがポイントです。

【通常の教室で学びたい生徒だった場合には、この相談から支援に一切結びつかないのです。】

通常の教室で学ぶ生徒については、端的に言えば
「入学してから学校と相談して。」
というようになっています。
ですから、教育委員会が支援級や支援校で対応するかどうかを判断するためだけの場なのです。

このように事実を誤認させ、不安をあおり、共生社会やインクルーシブ教育の流れに反した世田谷区教育委員会に断固として抗議いたします。

以下、抗議文です。


平成28年4月25日
世田谷区教育委員会
教育政策部 教育相談・特別支援教育課 御中

特定非営利活動法人なかよく
理事長 齋藤和俊

平成28年度 就学相談(中学進学)のご案内
に対する抗議文

前略 特定非営利活動法人なかよく 齋藤和俊と申します。
先日、世田谷区内の小学校6年生を対象として、「就学相談(中学進学)のご案内 ~お子さんの中学校進学について、心配や悩みをお持ちの保護者の方へ~」が配布されました(別添資料参照)。

障害者差別解消法が今年度より施行され、そこでは「障害のある児童生徒が、その年齢及び能力に応じ、可能な限り障害のない児童生徒と共に、その特性を踏まえた十分な教育を受けることのできるインクルーシブ教育システムを推進」とされています。そして世田谷区においても「世田谷ノーマライゼーションプラン」として「障害の有無に関わらず、だれもが地域で共に育ち、学び、働き、地域とつながり、活動するにあたり、それぞれが持てる力を最大限に発揮し、地域で自分らしく生活できる共生社会の実現を目指します。」と掲げられています。

しかし、こちらは配慮を必要とする児童の保護者の不安をあおり、実質的に分離教育の為の誘因を諮るものであり、大変遺憾です。

問題点

1.中学校生活での必要な支援としながら、普通級に在籍する児童への支援は対象外である。その為、普通級への進学を希望する児童の保護者にとっては単に不安をあおるだけのものである。
2.見学日・中学校教員等とあるが、支援級や支援校の見学、中学校支援級教員である。
3.「中学校での配慮事項を考える」は「支援級・支援校での配慮事項を考える」であり、普通級については一般的なことを述べるだけだということを、中学校という言葉でひとくくりにしてしまっている。普通級で学ぶにあたっての配慮については検討されないのに事実を誤認させる恐れがある。
4.「夏休み前までに教育相談室での面談を終えていない方は就学先への希望に添えないことがある」という断り書きを入れていることで、保護者の不安をあおり、また、夏休み前までに相談すれば希望の就学先に行けるという誤解を与えている。(実際は支援級を希望しても、教育委員会の意見と合わない場合には3月末まで保留されている)
5.根本的な問題として、普通級に在籍する児童に対する支援の仕方について検討が不十分であり、単なる人的配置であったりと対処療法となっている。

つきましては、今回配布した世田谷区内6年生全員へのお詫びの文章と、内容を訂正した案内の再配布を要望します。

 訂正点
1.案内を「特別支援学級および、特別支援学校を検討される方へ」とする。
2.「就学相談(中学進学)の流れ」ではなく、「就学相談(支援級もしくは支援学校への進学)の流れ」とする。
3.中学校教員等→中学校支援級・支援校教員等
4.中学校→支援級・支援校
5.「望ましい就学先」という表現をやめ、「就学先」とする。
6.「中学校でどのような配慮をした教育をうけることでお子さんの力をのばせるか」というのを「支援級や支援校ではどのような配慮をした教育を~」と、実際の検討内容に即したものにする。
7.「通常のクラスにおける支援については、実際に就学する段階(入学前後)で学校長および担任と相談することとなります。」というような実情に即した案内を入れる。

また、今後の課題として年度毎に場当たり的に対処を行うのではなく、長期的に支援をしていく方法を模索されることを要望します。

草々

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