障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の実施に関する調査研究協力者会議(第4回)

CM150721-143506001

昨日の文科省の対応指針について私見を述べさせていただきます。

今回、対応指針というのは私学向けのものではありますが、公立学校向けの「対応要領」がまだ出来ていないこともあり、各自治体が参考にしようと、この指針の動向を注視しているとのことです(文科省の担当者がこの会議の席で言ってました)。

ですので、この対応指針が「国のお墨付き」となり、方向性をそのまま義務化したものが各自治体での「対応要領」になってしまう可能性があります。

重ねて言いますが、対応指針とはいえ、この方向性・考え方というものがとても重要になります。

そんな中、よりによって会議の最終回という今回、下記点が追加されました。

問題点1
学校教育分野
 初等中等教育段階
 (1)合理的配慮に関する留意点
   エ 合理的配慮は、その障害のある幼児児童生徒がその能力を可能な最大限度まで発達させるための十分な教育が受けられるために提供できているかという観点から評価することが重要である。以下略

問題点2
 なお、学校教育分野における障害の早期発見・早期支援の必要性に鑑み、特に幼児教育段階や小学校入学時点においては、本人・保護者の医師の表明がない場合も幼児児童に対して適切と思われる支援を提案するため、幼児児童の障害の状態等の把握に努めることが望ましい。具体的には、保護者と連携し、プライバシーにも留意しつつ、地方公共団体が実施する乳幼児検診や就学前の療育・相談の結果を参考とすること、新入生全員を対象とした実態把握に努めること等が考えられる。

問題点3
 (前略)校長は、特別支援教育実施の責任者として、自らが特別支援教育や障害に関する認識を深めるとともに、リーダーシップを発揮しつつ、特別支援学校のセンター的機能等も活用しながら、次の体制の整備を行い、組織として十分に機能するよう教職員を指導することが重要である。

問題点1は、障害の「社会モデル」の考え方への移行が進む中、「医療モデル」となる旧時代の発達保障論の考え方を出してきたこと(今まで文科省は、この発達補償論にそって、第一位の目的を”能力=学力”の向上とし、その為には個別に特別支援教育をした方がよく、”共に学ぶ”ということは、その第一位の目的の妨げとなるとして否定し、分離別学を是としてきました)。
学校教育法施行令の改正の際はインクルーシブ教育の中身を分離別学に歪めてきましたが、今度は合理的配慮という言葉の意味を歪めようとしています。共に、先行して文言が条例に明記されているため、文言自体の解釈を都合のいいように変えようというのです。

これでは、合理的配慮をする為に、本人・保護者の意向に反して特別支援学校へ行かせる事が肯定されることが予想されます。

問題点2は問題点3と相まって、就学前検診の正当性を謳い、義務化し、「特別支援学校のセンター的機能等を活用」といいつつ、丸投げしている現在の図式をそのまんま肯定しているようにしか見えません。

さて、「いくらなんでも、うがった見方をし過ぎでは?」と思われている方もいると思います。
ですが、今現在も「特別支援教育はインクルーシブ教育」であり、学校教育法施行令が改正され「就学基準に該当する障害のある子どもは特別支援学校に原則就学するという従来の就学先決定の仕組みを改め、障害の状態、本人の教育的ニーズ、本人・保護者の意見、教育学、医学、心理学等専門的見地からの意見、学校や地域の状況等を踏まえた総合的な観点から就学先を決定する仕組みとすることが適当である。」とされ「保護者の意見については、可能な限りその意向を尊重」とされているのです。
にもかかわらずの現状があるからこそ、提言しているのです。

さて、上記点については委員の方に会議終了後に個別に進言させてはいただきました。
引き続きパブリックコメントでどういったものが出てくるか注視していきたいと思います。

障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の実施に関する調査研究協力者会議(第4回)を傍聴して
日時 平成27年7月21日(火)14時~16時

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